【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

未知なる深海へ 高井 研 =122=

2018-11-17 06:14:30 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

 青春を深海に掛けて=高井研=  

 第7話(最終話) 新たな「愛と青春の旅立ち」へ 

◇◆ プレカンラボ、絶滅の危機 =2/3=  ◆◇

40億年前の深海熱水は白かった説

ボクは最初に渋谷君の「酸素がほとんどなかったと考えられる太古代の海底になぜ酸化鉄でできた縞状鉄鋼層が形成されたのか」という地球史の研究上の長年の謎をダブルで一気に解決する程の破壊力をもった革命的アイデアを聞いたとき、思わず「絶対ありえん!オレは信じねー!」と言ってしまった程だ。

しかしその一方で実は(0.001秒)、プレカンラボのお友達第1号である上野雄一郎さんと35億年前の深海熱水の地質学的証拠を議論していた時から、「もしかして今の深海熱水と当時の深海熱水は全く異なるモノだったのではないか」という考えを持ち始めていたのも事実だったのだ。

そして渋谷君の書き上げた論文の第1稿を読んだ時、そのアイデアの革新性とインパクトの大きさに体中が痺れるような感覚を覚えた。そして「この研究成果によってプレカンラボは少なくとも10年は安泰だろぅ」と確信するに至ったんだ。

プレカンラボ、イラネ

しかし世の中ってそんなに甘くないのね。ボクの勝手な戦勝気分とは関係なく、渋谷君がやってきてから8ヶ月も経たない2008年12月には、JAMSTECの一部方面から「プレカンラボ、イラネ」という声が聞こえてきたんだ。

2008年度が終わる頃、JAMSTECは新しい中期計画の下、新しい研究組織を編成し直して再スタートすることになっていた。もちろん中期計画が変わるたびに組織が変わるのは独立行政法人の定められた宿命なのだが、大きな組織の改編が優先されるはずで、実質「ラボひとり」のプレカンラボなどは最後の微調整でどうとでもなるわいとタカを括っていたのだった。

それに「ラボひとり」の渋谷君は頑張っていたし、プレカンラボには輝ける未来が開けていると思っていた。むしろ2008年度末の改編は、ボクがJAMSTECにやって来るキッカケをつくってくれた、そしてずっと面倒を見ていてくれた掘越先生の引退が大きな出来事で、プレカンラボではなくて掘越先生引退後の微生物研究グループ本隊の改編の荒波の方にボクの時間や労力が費やされていたんだ。

そんな年末も近づくある時、JAMSTECのいろんな部署に潜むプレカンラボシンパのエージェントから、「役所と折衝する企画系の部署でとにかくプレカンラボの扱いがウザイから無くしちゃえという声が上がっているよ」というタレコミを受けたんだ。あれほど純で真っ直ぐなキュートなナイスガイだったはずボクは、そのころには立派に「インテリジェンスを制す者が世界を制す。ゲフゲフ」というドス黒いおっさんにトランスフォームできる能力を身につけていた。

ボクは頭から湯気をピューピュー吹き出しながら、またまたアポなし理事室突撃を敢行した。しかし末廣さんもそんな話は初耳だと言った。

そして「それはヤバいね。今回の新しい中期計画に伴う改編は、ボクが独断で突っ走っているからいろんな所から思わぬ抵抗があるんだよ。とにかく理事長と全理事、上層部を集めて、プレカンラボの今後の計画についてヒアリングしよう。それが存続できるかどうかの勝負だよ、タカイ君」と言ったんだ。

存続を賭けたプレゼンへ

プレカンラボ存続をかけたヒアリングの日程が1週間後に決まった。

しかし、その日程が最悪だったんだ。ボクは他のヒアリングやら出張やらで、その準備のためにほとんど満足に時間がとれそうになかった。しかも当日ギリギリにJAMSTECに戻ってきて、他のメンバーと打ち合わせする時間もなくヒアリングに直行するという、まさしく出たとこ勝負だったのだ。

渋谷君に「キミの首が懸かってるから、死ぬ気で準備しておけ!」と伝えて、他のメンバーにも「プレカンラボ絶滅の危機!」というメールを流して危機感を煽りつつ、ボクはできるだけの準備はした。そして当日、「もしかしたらボクが無責任に連れてきた若い研究者を路頭に迷わせることになるかもしれない。それだけは相手と刺し違えても阻止しないといけない」という悲壮な気持ちでヒアリングの待ち合わせ場所に向かったんだ。

待ち合わせ場所に行ってみると、なんとプレカンラボのメンバーが全員揃っていたんだ。ボクは渋谷君と二人でやるつもりだった。しかも東大に転出して客員研究員扱いになっていた中村謙太郎君まで集合していた。みんな「プレカンラボ存続の危機という話を聞いて飛んできました」と言ってくれた。そして謙太郎君は「ボクと渋谷君で一世一代のプレゼンをやりますから!」と言ったんだ。

ボクはあの瞬間の気持ちをずっと忘れないだろう。

ウルトラエッチキューブリンケージ研究からプレカンラボ立ち上げに至るまで、たしかにみんなで協力してやってきた。それなしにはとてもできなかったことだろう。でもやっぱり、ここまでの道程は、ボク自身の勝手な思い入れやアイデア、意思、願望を前面に出して、みんなを強引に巻き込んできたという意識があったんだ。だからこそプレカンラボの存続は、ボクが何とかしないといけないという責任を強く感じていた。

= エンケラドゥスvsエウロパvsケレス(4/7) =

・・・・・ 宇宙に生命を探せ‼ ・・・・・

そんなこんなで作り上げた対決表がコレ↓です。

力んだ割に、あんまりはっきりしないグダグダな結論になってしまっている感が否めない(笑)。このグダグダ感は、2013年12月から続々と発表された、政治的な意味合いも含まれていそうな新発見に、大きく影響されている部分があります。      ……続く

 ・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 :熱水海底下生命圏を調査!

   

・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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